童話「シェリールとシャルール」

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あるところに、仲の良い二人の子どもがいました。

仲良くなったきっかけは、二人のお母さんの名前でした。

初めて会った時、二人はこんな会話をかわしたのです。

「きみ、名前はなんていうの?」

「わたし、まだ名前はきまっていないの。でも、みんなにはシェリールの19とよばれてるわ」

「ぼくもまだ、名前はないよ。ぼくはシャルールの19ってよばれてるよ」

「なんか名前、似てるね」

「そうだね」

二人は、お母さんの名前が似ていることで親近感を覚えました。その日から、二人はお互いのことを「シェリールちゃん」「シャルールちゃん」と呼び合うようになりました。

まわりの人は、二人のことをきょうだいかと思いました。あまりにも呼び名が似ているし、いつも一緒にいるからです。

二人はきょうだいではありません。とはいえ、赤の他人でもない。

というのも、血統構成が結構似ていたから。

シェリール(の19)の父はロードカナロア、母父はサンデーサイレンス。

シャルール(の19)の父はルーラーシップ、母父はゼンノロブロイ。

二人の父父はキングカメハメハで共通しており、母系もお互いSS系なので、親戚といってもよい関係だったのです。

二人は原っぱでかけっこをしたり、泥遊びをするのが好きでした。遊び疲れると草の上にころがって昼寝をしました。鼻息で葉っぱをゆらしながら。

楽しい日々はずっと続くかのように思えました。でも。

「シャルールちゃん、あのね。お話があるの」

「どうしたの、シェリールちゃん」

「わたしね、ここを出て行くことになったの」

「えっ…出て行くって…」

お引っ越しするの?とシャルール(の19)は尋ねました。

「うん。なんか、イクセイキュウシャ、っていう所に行くことになったの」

「なにその、イクセイキュウシャ、って」

わたしもよくわかんないの。シェリール(の19)は泣きそうな顔で言いました。

「もう、決まりなんだって。変えられないんだって」

そういうと、シェリール(の19)はなみだをこぼしました。

それを見て、シャルール(の19)もなみだをこぼしました。

シェリール(の19)が育成厩舎に移動して、一週間後。部屋から夕暮れの空を眺めていると、向こうから見覚えのある子がやってきます。あれは…あの顔は。

「シャルールちゃん!」

向こうもこちらに気付きました。

「シェリールちゃん!」

シャルール(の19)も、無事に育成厩舎へ移動してきたのです。

「また、会えたね」

「もう、会えないかと思ったよ」

二人は再開を喜びました。笑顔の二人を、夕焼けの光がやさしく包みます。。。

                 おわり

※補足:シェリールの19はノーザンファームYearlingにて繋養。一方シャルールの19は白老ファームYearlingにて繋養。なので、二頭が顔を合わせるとしたらトレセンあるいは競馬場、かな…

とはいえ二頭とも、同じ放牧地の友達と一緒に遊んだり、仲良しの子が急に移動したり、という経験はあるのではないかと思うので、まぁ御了承下さい_(._.)_

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